さらに続きです。

東南アジアに行ってよく見る美麗チョウにアゲハチョウ科のルリモンアゲハ(Papilio paris)があります。日本のカラスアゲハ類に青い紋をつけたような美しいチョウです。

まずはタイ産。

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青い大きな紋と、エメラルドグリーンの点でちりばめられた黒い翼が魅力的です。これは1980年8月8にタイ Doi Suthep で捕ったもの。

この仲間は台湾にもいて、台湾産は Papilio paris hermosanus という亜種になるようです。

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これは1980年8月20日に台湾の巴陵で捕ったものです。同じルリモンアゲハでも、青い紋の形や前翅の緑のラインの有無、羽の形、エメラルドグリーンの点の分布などが違っています。

こう書いた後、親しい鳥友の方からメールをいただき、調べてみたところ巴陵は台湾の台北よりももっと北部で、分布域を考えてもご指摘のとおり台湾北部のもう一つの亜種 nakaharai、オオルリモンアゲハのようです。ご指摘本当にありがとうございました^^

台湾ではもう一つ、同じアゲハチョウ科のタイワンタイマイ(Graphium cloanthus)も展翅していました。

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こちらも1980年8月20日に台湾の巴陵で捕ったものです。日本のアオスジアゲハ(Graphium sarpedon)よりもずっと水色の面積が広くて美しいチョウです。

日本のチョウもほんの少しだけ展翅していました。まずはアゲハチョウ科のナガサキアゲハ(Papilio memnon Linnaeus)♀

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ナガサキアゲハには有尾型と無尾型があり、本州で見られるのはほとんどがこの無尾型です。名前のとおり南方系のチョウで、このときより前には見ることのないチョウでした。1990年7月13日に初めて我が家の庭に飛来して驚きました。これがそのときのチョウで、これ以来チョコチョコ見かけるようになり、今ではごく普通に見ることができるようになりました。

もう一つ、同じく南方系のチョウでかつては全く見られなかったチョウが、このタテハチョウ科のイシガケチョウ(Cyrestis thyodamas)です。

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1990年7月9日職場からの帰りに紀の川市神通付近を車で走っているとき、白いチョウが飛んでいるのを見つけ、あれっと思って車を止めたところ、イシガケチョウだったので驚きました。これもこの地域で見るのは初めてで、見ているうちに近くの葉の裏に張り付くように止まったので、上から叩き落として採集したものです。おそらくこの頃に温暖化による昆虫類の分布域の北上が顕著になってきたのかもしれません。

同じように温暖化で分布域が北上してきたものはいくつもあり、このシジミチョウ科のヤクシマルリシジミ(Acytolepis puspa)もその一つです。

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2005年11月12日に紀の川河川敷で見つけました。その前年くらいに大阪南部で見られたと聞いていたので注意していたので、すぐ気付きました。これは♀で、これがここでの初認です。

もう一つ、これも標本ではありませんが、今ではどの池でもごく普通に見られるようになったのがサナエトンボ科のタイワンウチワヤンマ(Ictinogomphus pertinax)です。

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これに似て一回り大きなウチワヤンマ(Sinictinogomphus clavatus)は、ごく限られた場所しか見ることができません。

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こちらは昔から見られたトンボで、身体ががっしりとしており、腹部先端の”ウチワ”が大きくて黄色い紋が入っていることが特徴です。

あ、標本でした (A^^;)  もう一つ、雑甲虫で、おそらく今は大阪南部からは消滅したと思われるものが、ひどい状態ですが何とかそれとわかる状態で残っていました。

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これはオオサカヒラタシデムシ(Eusilpha jakowlewi similator)。1969年10月29日大阪南部にある樫井川河川敷で採集したものです。上翅に紋があるように見えるのは、腹部が虫に食われて透けて見えているだけです。当時は普通にいましたが、今は全く見ることができません。

夏の標本同定会に大阪市立自然科学博物館(現 大阪市立自然史博物館)に持って行って、「ツシマヒラタシデムシだよ」って言われて、どうして対馬にしかいない虫が? って不思議に思ったことを覚えています。現在はこのツシマヒラタシデムシの大阪産亜種ってことになっています。淀川などではまだちゃんと見られるようですが、大阪南部ではもう絶滅してるかも。

標本シリーズはとりあえず終了です^^