Nawshicaの自然とともに

2019年4月にフリーとなり、現在は Nature Guide & Research として鳥や植物、昆虫の調査や観察会講師、ガイドなどをしています。このブログは​ 20​10​/04​/2​9 に yahooブログで開設し、2019/09/09 にこちらに移行しました。このブログでは日々の活動で見た生き物を中心に情報を発信しています。

夜の観察会

あっという間に7月も終わり、気付けば8月に突入してしまいました。一月以上も更新できずにがっかりでした。

さて、7月下旬に近くの山で夜の観察会があり、昆虫担当として参加することになりました。まずは夜の森を歩きながら子供たちに夜の生き物の解説。樹液にクワガタが来ていて取りたいコールがあったのですが、すぐそばにスズメバチが来ていたので却下。気持ちはよくわかるのですが、刺されると大変です (A^^;)  巨大なヤマナメクジ(Meghimatium fruhstorferi)やテン(Martes melampus)と思われる糞を見て子供たちは歓声を上げていました。

歩き終わってからは灯火採集。子供たちのお目当てはクワガタやカブトムシ(Trypoxylus dichotomus septentrionalis)なのですが、残念ながら全く来ておらず、大型のノコギリカミキリ(Prionus insularis)などに子供たちの関心は集中していました。ガもあまり人気がない昆虫ですが、大型のガはさすがに子供たちの目を引いていました。

まずはヤママユガ科のシンジュサン(Samia cynthia pryeri

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現地ではボクの勘違いで別の名前を言ってしまいました (A^^;)  守備範囲外のものの解説は気をつけないと (A^^;)  シンジュサンは神樹蚕、つまりニワウルシ(Ailanthus altissima)を食べる蚕のことですが、幼虫はこれ以外にもクヌギ(Quercus acutissima)、クスノキ(Cinnamomum camphora)、エノキ(Celtis sinensis)などいろいろな植物も食べるようです。どうせなら河川敷や道沿いで猛烈な繁殖力を見せている困り者のニワウルシをしっかり食べて欲しいものです。

アゲハモドキガ科のアゲハモドキ(Epicopeia hainesii hainesii)♂も来ていました。

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毒のあるジャコウアゲハ(Atrophaneura alcinous)に擬態していますが、一回り小さいガです。

こちらも大きいので人気があったガです。スズメガ科のトビイロスズメ(Clanis bilineata tsingtauica

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渋い色合いのスズメガです。幼虫はマメ科植物を食べるようで、この幼虫は中国では食用にされるらしいです (A^^;)

ガで子供たちが興味を引いたのはここまで。これ以外の小さなガは見向きもされませんでした (A^^;)  そういう中でも、このガは羽が不思議な形に切れ込んでいるのが目を引きました。シャクガ科のエグリエダシャク(Fascellina chromataria)です。

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こんなに羽がえぐれていて飛びにくくないのでしょうか? こんな方向に進化した理由がわかりません。

もうひとつ、名前がわかりそうな特徴的な模様の持つガが来ていたので、パチリ。

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ヤガ科のアミメケンモン(Lophonycta confusa)です。

ガはほんとに守備範囲外で、しかも種類がチョウに比べて圧倒的に多く、全く手に負えなかったのですが、素晴らしいサイトを見つけてからは絵合わせでそれなりに同定できるようになりました。それがこの「みんなでつくる日本産蛾類図鑑」です。


ここを見れば、特徴的な蛾であればほぼ同定ができるという素晴らしいサイトです。ただ問題はボクがスズメガ類などわかりやすいもの以外はどの蛾がなに科か見当すら付かない場合が多く、そういう時はこのアミメケンモンの時のように、全ての画像(1万枚以上!)を順に見て絵合わせをしないといけない、というたいへんな作業が待っている、ということなのです (A^^;)  早く蛾も守備範囲内に入ってほしいものです (A^^;)

蛾以外では珍しくツノトンボ科のツノトンボ(Hybris subjacens)が来ていました。

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トンボの名前が付いていますが、トンボとは類縁関係は薄く、ウスバカゲロウなどに近い昆虫です。お尻の先にクワガタムシの角のような付属器が付いていることから、これは♂です。

続く^^

ニシキソウの仲間

先週、思い立って職場内の植物(雑草)を調べてみました。58種を確認し、そのうち28種が帰化植物で、帰化率は48.3%でした。

意外だったのがニシキソウの仲間が4種見つかったことでした。

まずはどこにでもあるコニシキソウ(Chamaesyce maculata

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茎にも果実の表面全体にも細かな白い毛が生えています。葉の中央に紫のしみがあるのも特徴。

これに良く似た在来種のニシキソウ(Chamaesyce pseudochamaesyce)はめっきり見られなくなっている種類ですが・・・

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隅っこの方でちゃんと生き残っていました。こちらは茎も果実の表面も無毛で、葉に紫のしみはありません。

もう一つ、最近よく見られるようになりつつある新しい帰化植物のアレチニシキソウ(Chamaesyce sp. aff. prostrata)も見つかりました。

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コニシキソウに比べて茎の毛は少なく、葉に紫のしみはありません。果実には稜の部分にのみ白くて直立した毛が生えています。学名は、まだ確定していないのでしょうか??

この3種を並べてみたのがこちら。

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よく似ていますが、並べると違いは明らかです。

まあ、これだけだろうと思っていたところ、南方系のシマニシキソウ(Chamaesyce pilulifera)もありました。

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温暖化の影響がこんなところにも (A^^;)  びっくりしました。

あとオオニシキソウ(Chamaesyce nutans)があればこの辺りで見られるものはほぼ全部になるのですが、さすがにそれは今回は見当たりませんでした。こんなのです。

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こちらも茎や果実はつるんとしていますが、大きくて茎全体が立ち上がることが全く違います。

残りの植物はまたのちほど^^

クモラン(Taeniophyllum aphyllum)

自宅から約30分くらいの山の中で、風の強い日にはカヤラン(Sarcochilus japonicus)の付いたスギ(Cryptomeria japonica)の小枝がたくさん落ちている場所があります。時々そこに行っては落ちてしまって枯れるばかりのカヤランを救出していますが、そこでは時々クモラン(Sarcochilus japonicus)も落ちているのを見つけることがあります。

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クモランはこの写真のように根っこだけしかないランで、スギなどの小枝に着生して根にある葉緑体で光合成をするという変わった植物です。といっても実は放射状に出している根っこの中心部に小さな茎を持っており、そこから根だけではなく、短くて細い花茎を出してミリ単位の花をつけ、思いのほか大き目の果実をつけます。この写真の下の方に淡褐色で枯れたようなものがくっついているのが、種を飛ばしたあとの果実です。

カヤランも夏の暑さと乾燥に弱くて、継続して育てるのはなかなか難しい植物ですが、クモランはさらに難しく、まずひと夏を越すことは不可能でした。これは生息地のような涼しくて空中湿度のある場所を提供することができないことがダメな原因だろうと、ほぼあきらめていたのですが、先日たくさんのクモランが落ちているのを見つけ、どうすればこれらのクモランを枯らすことなく育てることができるかを考えてみました。

空中湿度と適度な明るさや温度さえ維持できればもしかしたら継続して育て、開花させることもできるのではないかと考え、家にあった透明容器にミズクサを入れ、そこに入れて口を透明なラップで覆う、ということをやってみました。

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毎日霧吹きで水をかけ、室内の窓際においてみたところ、枯れることなく育ってくれることがわかりました。100均でちゃんと蓋のついた透明な容器を見つけたので、そちらにお引越しさせてみました。

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危険回避のために、二つに分けてお引越し^^ さてどうなりますやら、と毎日世話をしていたところ、

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新しい大きな根が伸びているのがわかるでしょうか? それだけでなく、細い花茎もそれぞれのクモランの中心部から伸びだしていました。とりあえずは成功のようです。

枝から落ちたときの衝撃のせいか、拾った段階で既に着生している枝からほとんど取れてしまっているものもありましたし、右から二つ目のクモランはスギの果実に着生しているような状態で、このまま何年も育てるのはちょっとたいへんそうです。とりあえずは夏をちゃんと越せるか、ですが、順調にいけば開花は十分期待できそうです。もしこの方法でうまく育ちそうでしたら、冬場の休眠期に慎重に枝からクモランを取り外したあと、もう少し幅の広い着生場所にお引越しさせることも可能ではないかと考えています。

うまく育ってくれることを祈ってます。
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