Nawshicaの自然とともに

2019年4月にフリーとなり、現在は Nature Guide & Research として鳥や植物、昆虫の調査や観察会講師、ガイドなどをしています。このブログは​ 20​10​/04​/2​9 に yahooブログで開設し、2019/09/09 にこちらに移行しました。このブログでは日々の活動で見た生き物を中心に情報を発信しています。

いのちの森の植物

大型連休は色々と出歩きすぎて、ブログの更新するまもなく爆睡していました (A^^;)
 
5月3日は「げんきの森」調査2回目、4日は久しぶりに京都梅小路公園にある「いのちの森」に行ってきました。
 
いのちの森は、JR京都駅操車場跡に作られた梅小路公園の中にある、京都の原風景である糺(ただす)の森をイメージして作られた復元型ビオトープです。ここができた時からずっと大阪府立大学の森本先生(現京都大学)の研究室が中心となって、毎月1回植物と鳥、キノコなどのモニタリング調査が続けられています。
 
ボクも2年目から植物と鳥の調査メンバーとしてかかわってきましたが、最近はさすがに遠距離なためにご無沙汰しがちでした。この日は調査ではなく、梅小路公園グリーンフェアのイベントとして毎年行っている「いのちの森」の観察会のお手伝いでした。
 
京都駅に着いて「いのちの森」に向かって歩いている途中、京都中央郵便局の横でこの木が満開になっていました。
 
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これはタラヨウ(Ilex latifolia)の雄株。タラヨウは葉の裏面に傷をつけると、細胞内にある酸化酵素が働いて傷つけた部分に不溶性のタンニンが沈着して黒く変色します。葉は大きいので、裏面に釘などで字を書くと立派な郵便物になるため、郵便局の木に指定されています。京都中央郵便局だけでなく、東京中央郵便局など、各地の郵便局で植栽されているようです。
 
それにしても、観光客の目には京都の風景を撮影せずにこんな地味な花にカメラを向けているボクは、かなりへんな人に見えたでしょうね (A^^;)
 
「いのちの森」の中は、以前に比べてうっそうとした感じがしていました。5月になるのに、冬鳥のシメ(Coccothraustes coccothraustes)やシロハラ(Turdus pallidus)、アオジ(Emberiza spodocephala)がまだ残っていました。また、サンショウクイ(Pericrocotus divaricatus)が一声鳴いて上空を通過していきました。「いのちの森」で2度目の記録だと思います。
 
園内ではグミの仲間が満開でした。
 
一番多いのがアキグミ(Elaeagnus umbellata)です。
 
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花の咲き始めはこのように白いのですが、徐々に黄色く色が変わっていきます。新枝まで白いのも特徴です。たくさん実るのですが、実が小さいことと、真っ赤に熟してもなかなか渋味が抜けないのが欠点です。
 
空中回廊を降りたあたりに一株だけ、ナツグミ(Elaeagnus multiflora)が植栽されています。
 
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ナツグミの花は最初から薄黄色。花柄や子房の部分はアキグミより長く、アキグミのように密集して咲くようなことはありません。これは意識して2種が植えられたのではなく、植栽の段階で紛れ込んだもの思われます。ナツグミの方がおいしいのですが、実はたくさん付けないのが珠に傷。
 
ところでこれらのグミの花、基部がくっついているのでどう見ても合弁花植物のように見えますが、実は離弁花植物。花弁のように見えているのは萼片なのでした^^
 
いのちの森の調査を担当して、同定に自信のない種類がいくつか残っていました。植栽されていること、幼木で特徴があまりわからないことなどが原因ですが、そのうちの一つ、ヒメウコギ(Eleutherococcus sieboldianus)が花序をたくさんつけていました。
 
イメージ 4
 
当時はまだ幼木で鋸歯の雰囲気もちょっと異なり、葉の両面が無毛で脈脇の膜もないことからヒメウコギと同定していたのですが、今回花をつけている株を見ると、鋸歯がなんだか粗くてオカウコギ(Eleutherococcus japonicus)(学名は諸説ありそうで悩むなあ (A^^;) )に見えてきました。あわてて裏面をルーペで確認したところ、やはり膜がありません。なんとなく不安になり樹木調べサイト「このきなんの木」で質問をしてみたところ、無事ヒメウコギではとの回答をいただけ、ほっとしました。
 
もう一つ、未だに幼木のままで悩ましい木があるのですが、それはまた判明してからということにしておきます (A^^;)

ウグイス科

龍門山シリーズの続きです。
 
昨日は登りはじめたのが9時半ごろと少し遅かったので、確認した鳥はこの時期にしてはすごく少なくて20種でした。ウグイス科の鳥は3種確認できました。
 
まずは一番どこにでもいるウグイス(Cettia diphone
 
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ウグイスがウグイス色だっていうのは、昔の人の誤解が引き継がれているだけです。ウグイスは淡褐色の鳥で、ウグイス色をしているのはメジロ(Zosterops japonica)。「梅に鶯」の題の障子絵に描かれている梅にたくさん群れているウグイス色の鳥の目の周りが白いことが知られています^^ 梅の花咲く頃、ホーホケキョも聞かれるようになり、梅にメジロが蜜を求めて群れるので、双眼鏡を持っていない昔の人が誤解したんでしょうね。
 
続いてヤブサメ(Urosphena squameiceps
 
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ウグイスよりずっと濃い色合いで、尾の長いウグイスとは逆に尾が短くて、眉斑がくっきりと頭の後ろまで延びています。日本産の小鳥(スズメ目)では、この2種のみが尾羽が10枚(他は12枚)しかありません。
 
夏鳥で、4月に東南アジアから渡ってきて、低山帯で繁殖します。さえずりはものすごく周波数が高く、虫の声のようなシシシシシ・・・という声で、この声が聞こえなくなると鳥の調査も引退しないと (A^^;)
 
ウグイス同様、藪からなかなか出てきてくれない、見るのが難しい鳥ですが、今回は一人で登っていたこともあって、ばっちり姿を見せてくれました。
 
最後にセンダイムシクイ(Phylloscopus coronatus
 
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どれもこれもそっくりで見分けの難しいウグイス科の鳥の中でも、ムシクイ類は樹上にいるのを見ることが多いのでますます難しい仲間です。でもさえずりはみな特徴的ですので、さえずってくれさえすればすぐどの種かわかります。ウグイスとは尾が短いことで違うってのがすぐわかります。
 
センダイムシクイはムシクイの中でも一番普通種で、低山帯でも繁殖しています。さえずりは超有名ですが、アップで見れば頭の中央に縦に白い筋があることで他の種との見分けは一番楽です。これも東南アジアから渡ってくる夏鳥で、昨日もさえずりを聞かせてくれました。

龍門山の植物2

やっと山頂まで来ました (A^^;)
 
山頂には、新しいパノラマビューの看板が設置されていて一安心^^ その付近ではトリガタハンショウヅル(Clematis tosaensis)が満開でした。
 
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花が平開する種だったらもっと見栄えがするのでしょうが、トリガタハンショウヅルは開いてもこの程度。ここまで開いているのを探すのも一苦労でした (A^^;)
山頂ではこの時期ではもう見られないと思っていたギフチョウ(Luehdorfia japonica)がまだ飛んでいました。
 
昼食後、中央コースを下り、明神岩のところでウリハダカエデ(Acer rufinerve)の花がたくさん咲いていました。
 
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風が強くて、下垂して咲くこのウリハダカエデのような花は撮影がとても難しかったです。ウリカエデ(Acer crataegifolium)もほんの少し見られますが、龍門山ではほとんどこちらです。
 
山頂から下る途中、もう一つの目的、ヤマコウバシ(Lindera glauca)の花を撮影できました。
 
イメージ 3
 
ヤマコウバシは不思議な植物です。落葉樹なのに茶色くなった葉を冬の間ずっと枝につけたままにしますし、日本には雌株しか存在しないのに、ちゃんと種をつけて増えます。「男なんか必要ないわ!」って言われてるようです (A^^;)
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