大型連休は色々と出歩きすぎて、ブログの更新するまもなく爆睡していました (A^^;)
5月3日は「げんきの森」調査2回目、4日は久しぶりに京都梅小路公園にある「いのちの森」に行ってきました。
いのちの森は、JR京都駅操車場跡に作られた梅小路公園の中にある、京都の原風景である糺(ただす)の森をイメージして作られた復元型ビオトープです。ここができた時からずっと大阪府立大学の森本先生(現京都大学)の研究室が中心となって、毎月1回植物と鳥、キノコなどのモニタリング調査が続けられています。
ボクも2年目から植物と鳥の調査メンバーとしてかかわってきましたが、最近はさすがに遠距離なためにご無沙汰しがちでした。この日は調査ではなく、梅小路公園グリーンフェアのイベントとして毎年行っている「いのちの森」の観察会のお手伝いでした。
京都駅に着いて「いのちの森」に向かって歩いている途中、京都中央郵便局の横でこの木が満開になっていました。
これはタラヨウ(Ilex latifolia)の雄株。タラヨウは葉の裏面に傷をつけると、細胞内にある酸化酵素が働いて傷つけた部分に不溶性のタンニンが沈着して黒く変色します。葉は大きいので、裏面に釘などで字を書くと立派な郵便物になるため、郵便局の木に指定されています。京都中央郵便局だけでなく、東京中央郵便局など、各地の郵便局で植栽されているようです。
それにしても、観光客の目には京都の風景を撮影せずにこんな地味な花にカメラを向けているボクは、かなりへんな人に見えたでしょうね (A^^;)
「いのちの森」の中は、以前に比べてうっそうとした感じがしていました。5月になるのに、冬鳥のシメ(Coccothraustes coccothraustes)やシロハラ(Turdus pallidus)、アオジ(Emberiza spodocephala)がまだ残っていました。また、サンショウクイ(Pericrocotus divaricatus)が一声鳴いて上空を通過していきました。「いのちの森」で2度目の記録だと思います。
園内ではグミの仲間が満開でした。
一番多いのがアキグミ(Elaeagnus umbellata)です。
花の咲き始めはこのように白いのですが、徐々に黄色く色が変わっていきます。新枝まで白いのも特徴です。たくさん実るのですが、実が小さいことと、真っ赤に熟してもなかなか渋味が抜けないのが欠点です。
空中回廊を降りたあたりに一株だけ、ナツグミ(Elaeagnus multiflora)が植栽されています。
ナツグミの花は最初から薄黄色。花柄や子房の部分はアキグミより長く、アキグミのように密集して咲くようなことはありません。これは意識して2種が植えられたのではなく、植栽の段階で紛れ込んだもの思われます。ナツグミの方がおいしいのですが、実はたくさん付けないのが珠に傷。
ところでこれらのグミの花、基部がくっついているのでどう見ても合弁花植物のように見えますが、実は離弁花植物。花弁のように見えているのは萼片なのでした^^
いのちの森の調査を担当して、同定に自信のない種類がいくつか残っていました。植栽されていること、幼木で特徴があまりわからないことなどが原因ですが、そのうちの一つ、ヒメウコギ(Eleutherococcus sieboldianus)が花序をたくさんつけていました。
当時はまだ幼木で鋸歯の雰囲気もちょっと異なり、葉の両面が無毛で脈脇の膜もないことからヒメウコギと同定していたのですが、今回花をつけている株を見ると、鋸歯がなんだか粗くてオカウコギ(Eleutherococcus japonicus)(学名は諸説ありそうで悩むなあ (A^^;) )に見えてきました。あわてて裏面をルーペで確認したところ、やはり膜がありません。なんとなく不安になり樹木調べサイト「このきなんの木」で質問をしてみたところ、無事ヒメウコギではとの回答をいただけ、ほっとしました。
もう一つ、未だに幼木のままで悩ましい木があるのですが、それはまた判明してからということにしておきます (A^^;)