3月末に、地元龍門山に久しぶりに行きました。
龍門山はギフチョウ(Luehdorfia japonica)南限の地であること、特産のキイシモツケ(Spiraea niopponica var. ogawae)がたくさん見られることで有名ですが、ギフチョウは1980年代に目撃されたのを最後に絶滅してしまいました。マニアの乱獲によるものと考えており、本当に残念なことです。今は、繁殖した個体を放蝶することで、再び見ることができるようになりましたが、遺伝的にはもといた龍門山産のギフチョウではなくなっているのは残念なことです。しかしそれゆえ、再びマニアに乱獲されることはないと思うのですが、またいなくなるようなことのないように、龍門山の自然を守る会が中心となって保護活動を行っています。
2010年度に龍門山の山頂部が特別保護区に指定されたことにより、整備の予算が付き、新しく看板や樹木の名札を作ることになりました。落葉樹については後日観察会の際に設置することにし、葉が出てなくてもわかる範囲で、どの木に付けるのかを指示してきました。名札は急遽枚数が増えたため、写真が用意できなかった種に関しては、守る会でまた後日作成する予定です。
このイヌガシ(Neolistea aciculata)はそういう樹木の一つ。山頂近くでこういう赤い花をいっぱいつけていました。龍門山にはもう1種これによく似たヤブニッケイ(Cinnamomum tenuifolium)もありますが、中央コースではこちらの方がよく見られます。イヌガシに似てもっと葉の大きなシロダモ(Neolitsea sericea)の方がずっとたくさんみられます。
この3種のクスノキ科の植物は、3行脈のめだつ葉はそれぞれ似ていますが、花の形や色、開花期がみな違っているので、花を見ればすぐにわかります。