帰化植物の続きです。
まずはキク科植物。帰化植物で一番有名かもしれないセイタカアワダチソウ(Solidago altissima)

北米原産で、戦後急速に全国に広がり、花粉症の原因植物と誤解されて嫌われましたが、これは虫媒花なので花粉を飛ばすことはなく、真の原因植物は同時期に急速に分布を広げた風媒花のオオブタクサ(Ambrosia trifida)だということが後にわかりました。
次は引っ付き虫でおなじみ、オオオナモミ(Xanthium occidentale)

北米またはユーラシア原産。くっつき虫になるのが雌花で、その上部にかんざしのように突き出した淡褐色の丸い塊のように見えるものが雄花の集合体です。在来種のオナモミ(Xanthium strumarium)は大阪や和歌山では既に絶滅し、今見られるのは全てこのオオオナモミかイガオナモミ(Xanthium strumarium subsp. italicum)に取って代わられています。
引っ付き虫つながりで、次はアメリカセンダングサ(Bidens frondosa)

北米原産。舌状花のない頭花の周囲に葉状の総苞片が目立つのが特徴です。舌状花がなく、総苞片が短くて目立たないコセンダングサ(Bidens pilosa var. pilosa)とともに、厄介なくっつき虫です。
キク科の最後はアメリカタカサブロウ(Eclipta alba)

南米原産。在来種のタカサブロウ(Eclipta thermalis)にそっくりですが、葉が細くて鋸歯がはっきりと目立つのが特徴です。痩果のふちに翼がないことを確認すれば翼のあるタカサブロウとの見分けは確実です。こちらもいつのまにか在来種と入れ替わり、タカサブロウよりはるかに普通に見られるようになりました。
次はヒルガオ科のアメリカネナシカズラ(Cuscuta campestris)

北米原産の寄生植物。かつてはネナシカズラ科に分離されていましたが、APGⅢではヒルガオ科に統合されています。橙色の細いつるでヨモギ(Artemisia indica var. maximowiczii)などの植物に絡みつき、そこから養分を吸い取っています。一面に広がっているさまはまるで細い中華麺をぶっちゃけたように見えます。根も葉もありませんが、ちゃんと白い花をつけ、球形の実をつけます。在来種のネナシカズラ(Cuscuta japonica)は花柱が1本で果実が卵形であること、マメダオシ(Cuscuta australis)は花柱が2本で果実は球形ですが、つるが太くて淡黄色で褐色の小さな斑点があることで見分けられます。
次はトウダイグサ科のオオニシキソウ(Chamaesyce nutans)

北米原産。在来種のニシキソウ(Chamaesyce humifusa)や帰化植物のコニシキソウ(Chamaesyce maculata)は地面を這うように育ちますが、このオオニシキソウはずっと大きく、茎を斜めに立ち上げて育ちます。白い花のように見えるのは雄花の腺体の付属体が伸びたもので、雌花はその横にあり、受粉して無毛の果実が膨らんでいます。
最後はカヤツリグサ科のホソミキンガヤツリ(Cyperus engelmannii)

なかなか立派なカヤツリグサです。キンガヤツリ(Cyperus odoratus)や同じく帰化植物のコガネガヤツリ(Cyperus strigosus)にとてもよく似ていますが、

コガネガヤツリは小穂がやや扁平で、緑色に見える鱗片が中軸ではっきり二つ折れになるになるのに対し、ホソミキンガヤツリの小穂は円筒形で、鱗片が二つ折れにならないことが異なります。また、キンガヤツリではこの鱗片が上下で重なるように付くのに対し、ホソミキンガヤツリでは上下に少し離れて付くことが異なります。
他にも紹介したい帰化植物はいっぱいありますが、今回はこれでおしまい^^