11月2日~4日に和泉葛城山で鳥のバンディングを行いました。
 
11月初旬に調査を行うのはこれが初めてです。なにが捕れるのか楽しみにしていたところ、まず捕獲できたのはシロハラ(Turdus pallidus)♂Jでした。
 
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♂でも若いうちは♀のようにのどが白くて縦斑があります。虹彩に赤みがないのは若鳥の特徴です。
 
シロハラはもう1羽捕れ、次にウグイス(Cettia diphone)♀Jが捕れました。
 
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これはその後捕れた♂J このあと、2011年8月15日に捕獲した♂も捕れました。
 
この日最後に捕れたのがこれ。
 
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メボソムシクイ(Phylloscopus xanthodryas)UJです。こんな遅い時期にこれが捕れるとは思いませんでした。このメボソは腹部の黄色が鮮やかでした。
 
翌日、クロジ(Emberiza variabilis)♂Jが捕れました。
 
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成鳥のようにすっきりと黒くなく、頭部に縦縞があります。
 
この鳥を標識・放鳥した後、抜けていた尾羽を集めて何気なく見てみると・・・
 
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尾羽に虫食い状の穴があいています。これは、福島原発事故以降、主としてオオジュリン(Emberiza schoeniclus)でしばしば記録されている尾羽の異常にそっくりです。ここで捕獲したクロジにもこんな羽を持つ鳥が捕獲されるとは驚きでした。
 
続いて、カケス(Garrulus glandarius)UJが捕れました。
 
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いつもながら鋭い顔つきです。でも、美しい!
 
この日はわずか2羽のみ。翌日はまたメボソムシクイが捕れ、続いてクロジ♂Jが捕れました。
 
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前日に捕れたクロジ尾羽に異常があったので、この鳥はどうか見てみると・・・
 
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またです。前日の鳥と同様、ポツポツと虫食い状の穴があいている羽があります。さらに中央尾羽は異常に長く、その羽毛の縁はぼろぼろになるような感じに虫食い状態になっていました。こういう長さの異常も福島原発事故以来オオジュリンでしばしば見られるものです。穴に関しては外部寄生虫によるものでは、という疑念もありましたが、長さ異常は外部寄生虫との関連はまず考えられませんので、遺伝子に異常がおこっている可能性も考えられます。
 
たった2羽しか捕獲できなかったクロジの2羽ともがこんな状態だったことはかなりショックでした。2羽とも今年生まれの若鳥でしたので、もしかしたら兄弟か、近い場所で生まれた若鳥なのかもしれません。
 
「福島原発は完全に Under Controle」と言い切った人は、この現実を見てどう考えるのでしょうか?