龍門山の植物について書いている途中で、とってもいい鳥を見てしまったせいで中断してしまいました (A^^;)
さて、では続きです。
田代峠からは尾根筋の道です。途中でいつもはトサノミツバツツジ(Rhododendron dilatatum var. decandrum)の花を見るのですが、今年はまだ1輪も見られません。そういえば去年は花が見られたトリガタハンショウヅル(Clematis tosaensis)もまだ蕾。今年の春は1週間ほど遅いようです。
途中で、アセビ(Pieris japonica)が咲いていました。

龍門山ではこの尾根筋だけに見られます。ツツジ科の木本。軽い毒性のため、鹿が食べないので、奈良公園などにはたくさん見られるのですが、ここは鹿の影響もないのにどうしてここだけにあるのかわかりません。
シュンラン(Cymbidium goeringii)の花も見られました。

茶花にはいいかもしれませんが、そんな派手立つ花でもない植物なのに、どうして取っちゃうのでしょうか? こういう花は山で見るからこそ清楚で美しく見られるのに、困ったものです。
尾根筋を歩いても歩いても、今回の観察会の目玉、ギフチョウ(Luehdorfia japonica)は飛びません。山頂でお昼を食べている間も、ギフチョウどころかチョウは1頭も見られず寂しい限りです。この観察会でギフチョウが見られなかったのは初めて。やはり春は例年より遅いことに実感しました。
昼食後、中央道を通って下山。途中、イヌガシ(Neolitsea aciculata)の花が終わりかけていました。

この赤い花はインパクトがあります。
足元には、こんなキノコも見つかりました。エリマキツチグリ(Geastrum triplex)です。

ツチグリ(Astraeus hygrometricus)に似ていますが、カキのへたのような部分の裂片の数が少なめで、そこと中央の球形の部分の間に襟があるのが特徴です。球形の部分の頂にある小さな穴から、煙のように胞子を出すのは同じです。食べられる?? いやいや、そんな勇気はないです (A^^;)
明神岩に出る直前にあるアブラチャン(Lindera praecox)は、今回も満開でした。

これは雄花。雄株なので実はできません。
キブシ(Stachyurus praecox)もちょうど満開でした。

地味な花ですが、この花を見ると春が来たなって実感します。
明神岩で小休憩したあと、さらに下ったところにヤマネコノメソウ(Chrysosplenium japonicum)が咲いていました。

単独で咲いていたら、目に留まることのないくらい地味な花ですが、一ヶ所に群生していると、その部分がぽっと明るくなるような感じがします。ネコノメソウ(Chrysosplenium grayanum)にとてもよく似ていますが、ヤマネコノメソウは茎に付く葉が互生するのに対し、無印ネコノメソウは対生することが異なります。
さらに下ったところで、こんな花が足元にたくさん落ちていました。

ヤマナラシの花序です。ポプラに近い種類で、これでもヤナギ科です。この近くではイヌシデ(Carpinus tschonoskii)の花序もたくさん落ちていました。
中央道登り口近くでは、ムラサキケマン(Corydalis incisa)がたくさん咲いていました。

これはたくさん見られるのに、エンゴサクやキケマンの仲間はここでは全く見られません。
今回はチョウも夏鳥もまだ全然見聞きすることができませんでした。春の歩みは少しゆっくりとしているようです。