稲村ヶ岳、まだまだ続きます。
 
コミネカエデ(Acer micranthum)の咲いていたすぐ横に、ベニドウダン(Enkianthus cernuus f. rubens)も咲いていました。
 
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「ベニ」といってもうっすら赤い程度。シロドウダン(Enkianthus cernuus f. cernuus)に近いものまでいろいろ見られますが、和佐又山に植栽されているような真っ赤なものは野生では見たことがありません。花冠の先が細かく三角に裂けたようになっているのが特徴です。
 
苔むした大木の幹には、アオベンケイ(Hylotelephium viride)が着生していました。
 
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蕾がついています。残念ながらいまだにちょうど花の咲く時期にはめぐり会えていません。来週には花が見られるでしょうか?
 
やっと山頂の稲村ヶ岳山荘に到着。少し遅くなりましたが、ここでお昼ご飯。木製のベンチは乾いていてゆっくり座ってご飯です。そのベンチとテーブルの上には、我々よりも先にこんな虫が休憩中でした。
 
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地味なジョウカイボンの仲間の中では美麗種のひとつ、アオジョウカイ(Themus cyanipennis)です。こんなにきれいでも、成虫も幼虫も肉食性です。
 
これ以外にも、ハナカミキリ類やツツハムシ類なども休憩中でしたが、小さいし止まってくれずにいい写真はなかなか撮れませんでした。この子はまだゆっくりと撮らせてくれた方です。
 
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ビロウドコガネの仲間だというのはすぐわかりましたが、種名まではわかりませんでした。帰って調べてみたところ、黒っぽくて毛深いこと、触角の柄の部分が黒くなくて先の開いた部分の半分くらいしかないことから、ハイイロビロウドコガネ(Genus Pachyserica)♂のようでした。
 
山荘のトイレ横では、ヒナノウスツボ(Scrophularia duplicatoserrata)が咲いていました。
 
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現地では花が密集してるように思い、オオヒナノウスツボ(Scrophularia kakudensis)と言ってしまいましたが、まだ花序が伸びかけだったようです。葉の鋸歯も細かそうに思ったのですが (A^^;)  オオヒナノウスツボの花期は8~9月ですし、もっとがっしりとした感じで、葉の基部が心形になるものもあるようです。
 
いよいよ稲村ヶ岳山頂へ。途中、イワカガミ(Schizocodon soldanelloides var. soldanelloides)の残り花を見ながら、オオミネコザクラ(Primula reinii)のある岸壁のところに着きました。ここにはハナヒリノキ(Eubotryoides grayana)があります。
 
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地味で小さな花をつけるツツジ科の植物。ここには葉裏が白いウラジロハナヒリノキ(Eubotryoides grayana var. hypoleuca)も見ることができます。
 
稲村ヶ岳に初めて登った30年程前には、登山道沿いの両側にオオヤマレンゲ(Magnolia sieboldii subsp. japonica)がたくさん見られたのですが、ニホンジカ(Cervus nippon)の食害で今は全く見られなくなりました。たまにまだ小さな幼木を見ることがあることから、開花株もまだ残っているのだろうなと思いながら、今まで見つけることができませんでした。ところが・・・
 
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岸壁を越えたところの谷の向かい側に開花株を発見! とても立派な株です。今回もショウキラン(Yoania japonica)などを真っ先に見つけてくれた参加者の方が気付いて教えてくれました。
 
このあたりから天候が怪しくなり、山頂はあきらめて引き返すことに。カッコウ(Cuculus canorus)やルリビタキ(Tarsiger cyanurus)の囀りを聞きながら、稲村ヶ岳山荘まで戻り、そこから山上ヶ岳方向に向いました。
 
曇り空で少し雨のぱらつくこともあり、鳥の囀りや昆虫はほんとに少ししか見ることができませんでしたが、ルリセンチコガネ(Phelotrupes auratus auratus)はいつものように見ることができました。きらめきながら飛んでいたのを手で叩き落として撮影。
 
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暗いし動き回るのでピントが (A^^;)  こんなにきれいなのに、食べているものは・・・ う~ん不思議だ^^
 
もうひとつ、こちらもここではいつもで会える生き物、ナガレヒキガエル(Bufo torrenticola)もいました。
 
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グロテスクですが、意外とカラフル。渓流性のヒキガエルです。紀伊半島のみかと思っていたら、意外と広く分布するみたいです。
 
さらに続く^^