長かった稲村ヶ岳シリーズもこれで最後です。
 
レンゲ辻からの谷沿いのスリリングな道も終り、やっと舗装道路に出ました。ここから車を駐車している場所まではずっとこの舗装道路を歩かなければいけません。でも、この道筋もたくさんおもしろい植物が見られます。
 
歩き出してすぐ、こんな植物が花を咲かせていました。
 
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サンカクヅル(Vitis flexuosa)かアマヅル(Vitis saccharifera)のいずれかだと思って撮影。葉の鋸歯が三角形に尖っているのでサンカクヅルと思いましたが、花序は無毛。サンカクヅルには褐色の毛があるはずなのですが??
 
さらにその先では、ズイナ(Itea japonica)が満開でした。
 
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以前はユキノシタ科に分類されていましたが、APGⅢではズイナ科に分離されています。襲速紀(そはやき)要素の植物の代表選手。フォッサマグナから西、中央構造線より南に分布する遺存種のひとつです。側脈が葉の前方にカーブするのが特徴です。
 
その先ではサイゴククロヅル(Tripterygium regelii)も満開でした。
 
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つる性の植物で、これでもニシキギ科です。葉先が長く尖るのがクロヅルとの区別、とされていますが、YListでは区別されていません。連続する変異に関しては区別する必要がない、と言うボクのスタンスからいえば、クロヅルとするべきところです (A^^;)  う~ん、一貫性がない (A^^;)  これからは”サイゴク”は付けないようにしよう (A^^;)
 
道沿い、つまり林縁部にはつる植物が多い。これはマント群落といって森の中の湿度を保ったりする役割を担っています。そのつるの中にこんな小さな花が咲いているを見つけました^^
 
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マツブサ(Schisandra repanda)です。なかなか花には出会えないのでラッキーでした。
 
さらに歩いて行くと、道に突き出すようにカエデ類の大きな葉を見つけました。
 
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一見ウリハダカエデ(Acer rufinerve)のようにも見えますが、葉が長めで側裂片があまり横に広がらず、葉柄が赤いことから、ホソエカエデ(Acer capillipes)です。和佐又山の駐車場付近では大きな木が見られますし、この稲村ヶ岳の登山道で枝を拾ったこともありますが、この稲村ヶ岳でちゃんと生えているのを見たのは初めてです。なかなか見られない木です。
 
このあたりからナガバモミジイチゴ(Rubus palmatus var. palmatus)がたくさん実をつけていました。美味しい実で疲れを癒します^^ 同じような場所でエビガライチゴ(Rubus phoenicolasius)もありました。
 
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葉だけを見るとクロイチゴ(Rubus mesogaeus)に似ていますが、こちらは茎にも花序にも萼片の外側にも赤い毛がびっしりと生えています。花序を見れば”エビガラ”と付けた理由もうなづけます。
 
やっと山上ヶ岳の入り口駐車場までたどり着きました。ここのお店屋さんの向かい側で、ササユリ(Lilium japonicum)がとてもきれいに咲いていました。
 
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ここのは植栽なのかなあ?? まあ、ここならいくら咲いていても誰にも取られる心配はなさそうです。
 
トイレの横ではヤマボウシ(Cornus kousa subsp. kousa)が満開でした。
 
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さすがにこれは植栽だと思います。
 
ここからさらに歩いて車の場所に戻ったのは、もう6時半頃になっていました。なんとか明るいうちに戻って来れました^^
 
さて、明後日から再び稲村ヶ岳です。今回は稲村ヶ岳山荘で1泊し、鳥や植物の観察や実習を行います。またいいものが見られることを楽しみにしています^^