7月末に、18名+ボクを含めた付き添い2名の20名で稲村ヶ岳に行ってきました。今回は山頂付近の稲村ヶ岳山荘に宿泊する1泊2日の観察会です。
 
チャーターバスでエコミュージアムセンター前に到着し、身支度を整えてから予定通り10時ごろ登山に出発です。
 
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登山は初めての参加者もいるため、準備運動を行ない、登山中の注意などを説明した後、ゆっくりと登り始めました。天気も上々です。
 
歩き始めたあたりはずっとスギ(Cryptomeria japonica)の植林で、時々ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)が混ざります。スギとヒノキは有名でも実物で見分けられない人がほとんどなので、まずはその見分けから。針葉樹の植林の森は暗くて林床の植物も少ないことを実感してもらいました。
 
暗い林床にはアカバナ科のタニタデ(Circaea erubescens)やアカネ科のミヤマムグラ(Galium paradoxum)などが咲いていました。イラクサ科のウワバミソウ(Elatostema involucratum)も花をつけていましたが、こんな地味な花はあまり見向きもされません。
 
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これでも山菜としては人気とか。ボクはまだ食べたことがありません。よく似たヤマトキホコリ(Elatostema laetevirens)とは、葉の先が長く伸びること、開花期がヤマトキホコリは秋であることなどで区別できます。
 
これとは対照的に誰からも人気なのが、ユキノシタ科のギンバイソウ(Deinanthe bifida)です。とってもきれいに咲いていました。
 
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先が大きく二つに分かれた不思議な形の葉っぱですぐにそれとわかります。花も美しいのですが、上向きに咲けばもっと人気が出るのに、もったいない (A^^;)
 
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覗き上げるような窮屈な姿勢で、やっとのことで花の中を見ることができました。
 
これは草本ですが、さらに進むと同じように先が二つに分かれた葉を持つ木が見られます。こちらはアジサイ科のヤハズアジサイ(Hydrangea sikokiana)です。
 
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周辺に付く装飾花が小さくて数が少なく、高いところで花を咲かせるため、葉がユニークなのに花が咲いていてもなかなか気付いてもらえません。
 
今回はゆっくりと登ったので、法力峠でお昼ご飯。ここからがブナ林の始まりです。尾根筋を歩きながら、水場で小休憩。ここにはアカバナ科のケゴンアカバナ(Epilobium amurense)が咲いています。
 
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こうしてアップにすればきれいな花なのに、小さくてやはり見逃されることの多い植物です。
 
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柱頭が球形で、茎に稜があり、その稜上に白い毛が密に生えているのが特徴です。
 
小休憩のあと、山小屋に向って歩いて行きました。途中でユリ科のヤマジノホトトギス(Tricyrtis affinis)が咲いていました。
 
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登山道の横の斜面には、こんな光沢のあるぺらぺらっとした硬質のキノコが生えていました。
 
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キノコは守備範囲外ですので専門家に尋ねてみたところ、サルノコシカケ科のニッケイタケ(Coltricia cinnamomea)だそうです。傘の表面に同心円状の模様だけでなく放射状の繊維紋があるのが特徴だそうです。Rumi Yamadaさん、ありがとうございます。
 
続く。