さて、植物編もこれが最後です。
 
山頂展望台からは、最初雲がいっぱいで遠くの景色が見えませんでしたが、徐々に雲も晴れて大台山系や大峰山系が見えてきました。すぐ近くの空をタテハチョウ科のアサギマダラ(Parantica sita)がゆっくりと通過していきました。
 
ニシキギ科のクロヅル(Tripterygium regelii)ももうすぐ花が終わりです。
 
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白い花序に赤くてぺらっとしたものがくっついているように見えますが、この赤いのが果実です。
 
ツツジ科のサラサドウダン(Enkianthus campanulatus)は全て実になっていました。
 
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花の時期には、それは見事だっただろうなと想像できます。
 
午後から雨の予報が出ていますので、予定を少し早めて下山。途中、アジサイ科のノリウツギ(Hydrangea paniculata)がきれいでした。
 
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周辺の大きいのは装飾花。その内側の丸く小さいのが雄しべ雌しべを備えた、つまり結実する花です。開花はこれからのようです。
 
キレットまで戻り、天気もまだもちそうなので、ここから大日山に登ることにしました。鎖場の多い急勾配の登山道なので、全員が事故なく登ることを第1に考えながら、ゆっくりと慎重に山頂を目指しました。途中、シュロソウ科のツクバネソウ(Paris tetraphyll)が咲いていました。
 
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不思議なつくりの花。以前はユリ科に分類されていましたが、今はなじみの薄いシュロソウ科です (A^^;)
 
レンプクソウ科のヤマシグレ(Viburnum urceolatum)も咲いているのかいないのかわからない花をつけていました。
 
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ヤマシグレの花はこんなふうに蕾のような状態で平開しない花をつけ、先端から雄しべの白い葯が見えていることで開花しているのがわかる程度です。レンプクソウ科はレンプクソウしか入っていないマイナーな科だったのですが、スイカズラ科からどさっとお引越しされて、にぎやかな科になりました。
 
鎖場の連続の途中で咲いていたこの二つの花は、地味系だということもあってあまり興味を示してくれず、参加者の大部分はひたすら鎖やはしごと格闘していました (A^^;)
 
そんな中でこのオミナエシ科のキンレイカ(Patrinia triloba var. palmata)だけは、きれいなのでしっかりと見てくれました^^
 
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葉と花のバランスも取れていて、ボクのお気に入りの花の一つです。
 
全員無事山頂まで到着。山頂の見晴らしがないと文句を言われましたが、こちらの方が登りきったという実感があったのではと思いました。
 
下りはさらに慎重に! 元の分岐点まで戻り、あとは快適に稲村ヶ岳山荘まで戻りました。ここで早い昼食を取りました。思いがけなく用意してくれていたお味噌汁の美味しかったこと^^ 全員で完食です (^^)v
 
食事後、雨にあわないように急いで下山。途中でテングタケ科のタマゴタケ(Amanita hemibapha)が数本出ていました。
 
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雷の音も遠くで聞こえており、空模様も気になったのですが、せっかくの教材^^ 急斜面をゆっくりと下りて1本持ってきて、白い壷の存在、茎のだんだら模様、傘の上面の縁沿いにある放射状の筋などの特徴を説明。とても美味しい食用キノコだと言ったのですが、みんな警戒して持って帰りたいという人は皆無 (A^^;)  美味しいのになあ (A^^;)
 
雨にもほとんどあうこともなく下山。さすが普段の行い (^^)v  帰りは母公堂の方に降り、そこから舗装道路を歩きました。途中、ごろごろ水付近でやっとツリフネソウ科のハガクレツリフネ(Impatiens hypophylla)を見つけました。
 
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無印ツリフネソウ(Impatiens textorii)より淡いピンク色で少しふっくらとした花を葉に隠れるようにつけるのが特徴です。こちらではけっこう見られるはずなのに、タイミングが悪かったのか、ここでしか見られませんでした。園芸種のホウセンカ(Impatiens balsamina)やアフリカホウセンカ(Impatiens walleriana)、いわゆるインパチエンスとは同属。同属とは思えない不思議な花の形状ですが、果実に触れるとはじけて種を飛ばすところは同じです。さすがimpatience(短期、せっかち、我慢できない)の名のとおりです^^
 
やっともとの登山口に到着。登山道入り口付近に、登りの際には全く気付かなかったサルトリイバラ科のシオデ(Smilax ripariaがちょうど満開になっていました。
 
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まるで線香花火のように雄しべが四方にはじけたように広がっています。その付け根が丸く膨らんだように見えますが、これは花弁が丸く後ろに反転しているため。近縁種のタチシオデ(Smilax nipponicaは反転せずに平開します。この株は雄花をつけているので雄株です。
 
と、識別点まで書いておいて、種名を逆に書いていました。ほんとに凡ミス (A^^;)  大変失礼いたしました (A^^;)  ご指摘いただいたedelweiceさん、ありがとうございます。ちなみに、タチシオデの開花期は5~6月、シオデの開花期は7~8月と、開花の時期も異なっています。
 
さて、次は昆虫編です^^