あっという間に7月も終わり、気付けば8月に突入してしまいました。一月以上も更新できずにがっかりでした。
さて、7月下旬に近くの山で夜の観察会があり、昆虫担当として参加することになりました。まずは夜の森を歩きながら子供たちに夜の生き物の解説。樹液にクワガタが来ていて取りたいコールがあったのですが、すぐそばにスズメバチが来ていたので却下。気持ちはよくわかるのですが、刺されると大変です (A^^;) 巨大なヤマナメクジ(Meghimatium fruhstorferi)やテン(Martes melampus)と思われる糞を見て子供たちは歓声を上げていました。
歩き終わってからは灯火採集。子供たちのお目当てはクワガタやカブトムシ(Trypoxylus dichotomus septentrionalis)なのですが、残念ながら全く来ておらず、大型のノコギリカミキリ(Prionus insularis)などに子供たちの関心は集中していました。ガもあまり人気がない昆虫ですが、大型のガはさすがに子供たちの目を引いていました。
まずはヤママユガ科のシンジュサン(Samia cynthia pryeri)
現地ではボクの勘違いで別の名前を言ってしまいました (A^^;) 守備範囲外のものの解説は気をつけないと (A^^;) シンジュサンは神樹蚕、つまりニワウルシ(Ailanthus altissima)を食べる蚕のことですが、幼虫はこれ以外にもクヌギ(Quercus acutissima)、クスノキ(Cinnamomum camphora)、エノキ(Celtis sinensis)などいろいろな植物も食べるようです。どうせなら河川敷や道沿いで猛烈な繁殖力を見せている困り者のニワウルシをしっかり食べて欲しいものです。
アゲハモドキガ科のアゲハモドキ(Epicopeia hainesii hainesii)♂も来ていました。
毒のあるジャコウアゲハ(Atrophaneura alcinous)に擬態していますが、一回り小さいガです。
こちらも大きいので人気があったガです。スズメガ科のトビイロスズメ(Clanis bilineata tsingtauica)
渋い色合いのスズメガです。幼虫はマメ科植物を食べるようで、この幼虫は中国では食用にされるらしいです (A^^;)
ガで子供たちが興味を引いたのはここまで。これ以外の小さなガは見向きもされませんでした (A^^;) そういう中でも、このガは羽が不思議な形に切れ込んでいるのが目を引きました。シャクガ科のエグリエダシャク(Fascellina chromataria)です。
こんなに羽がえぐれていて飛びにくくないのでしょうか? こんな方向に進化した理由がわかりません。
もうひとつ、名前がわかりそうな特徴的な模様の持つガが来ていたので、パチリ。
ヤガ科のアミメケンモン(Lophonycta confusa)です。
ガはほんとに守備範囲外で、しかも種類がチョウに比べて圧倒的に多く、全く手に負えなかったのですが、素晴らしいサイトを見つけてからは絵合わせでそれなりに同定できるようになりました。それがこの「みんなでつくる日本産蛾類図鑑」です。
ここを見れば、特徴的な蛾であればほぼ同定ができるという素晴らしいサイトです。ただ問題はボクがスズメガ類などわかりやすいもの以外はどの蛾がなに科か見当すら付かない場合が多く、そういう時はこのアミメケンモンの時のように、全ての画像(1万枚以上!)を順に見て絵合わせをしないといけない、というたいへんな作業が待っている、ということなのです (A^^;) 早く蛾も守備範囲内に入ってほしいものです (A^^;)
蛾以外では珍しくツノトンボ科のツノトンボ(Hybris subjacens)が来ていました。
トンボの名前が付いていますが、トンボとは類縁関係は薄く、ウスバカゲロウなどに近い昆虫です。お尻の先にクワガタムシの角のような付属器が付いていることから、これは♂です。
続く^^