日本に住むトカゲは長らくニホントカゲ1種と思われていましたが、DNAを調べることで東日本に住むヒガシニホントカゲ(Plestiodon finitimus)、西日本に住むニホントカゲ(Plestiodon japonicus)、伊豆半島から伊豆諸島にいるオカダトカゲ(Plestiodon latiscutatus)の3種であることがわかっています。
ニホントカゲとヒガシニホントカゲの識別は外形的には額にある長い六角形の鱗の前方にある1対の鱗(前額板)が面で接しているか、あるいは離れているかでほぼ判定できるようです。残念ながらこれだけでは8割程度しか見分けられないそうですが、遺伝子を調べるのはなかなか難しいので、とりあえず前額板の配置を手がかりに両種の境界線がどうなっているのかを調べてみました。
ニホントカゲとヒガシニホントカゲの境界線は若狭湾から琵琶湖を縦断し、三重県内で中央構造線沿いに西走して和歌山県に抜けるラインとなっており、我が家の近くにその境界がありそうです。中央構造線ということで大阪府と和歌山県の府県境にある和泉山脈がその境界かと考え、我が家はその南側なのでヒガシニホントカゲではと思って庭にいるトカゲを撮影しました。
前額板が面で接していますので、ニホントカゲだ! ということは境界線は? と思って分布図の境界線をよく見ると、どうももっと南にある有田川沿いが境界線のように見えます。
続いて奈良県の御手洗渓谷で見つけたトカゲは?
前額板が左右に離れていますのでヒガシニホントカゲのようです。縞模様があるのはまだ成体ではないからです。
続いて田辺市ひき岩で見つけたトカゲ。ここは和歌山のずっと南なので・・・
前額板が接しています! あれれ? ニホントカゲ? 海岸べりにニホントカゲが分布しているの?
このあと同じく田辺市奇絶峡で見つけたトカゲは?
やっぱり前額板が接しています。ニホントカゲのようです。
今度は有田川より少し北側の有田川町生石高原で見たトカゲは?
こちらは前額板が離れています! ヒガシニホントカゲ? いったいどうなってるの?
そういえば岩出市げんきの森でもトカゲの写真を撮っていました。改めて見てみると、
前額板がはっきり左右に離れているではないですか! ヒガシニホントカゲ?? え~~??
さらに、ちょっと前に兵庫県六甲山に行ってきた時に見つけたトカゲは?
前額板がこれまた明瞭に離れています。ヒガシニホントカゲ??
同じく兵庫県の鉢伏高原では・・・
前額板がくっついています。こちらはニホントカゲ^^
それにしてもこれはいったいどういうことなんでしょうか? 分布図が間違っているのか、前額板だけで分類しようとしたことが間違いなのか、混生地域があるのか、もう少し調べてみたいと思います。
三重県の方からの情報では、今のところ全てヒガシニホントカゲのようです。和歌山県、奈良県、滋賀県など境界線がありそうなところはもちろん、飛び離れて見られる場所があるかも知れませんので、もしご興味をもたれた方はぜひ前額板のわかる写真を撮り、見せていただけましたらありがたいです。