Nawshicaの自然とともに

2019年4月にフリーとなり、現在は Nature Guide & Research として鳥や植物、昆虫の調査や観察会講師、ガイドなどをしています。このブログは​ 20​10​/04​/2​9 に yahooブログで開設し、2019/09/09 にこちらに移行しました。このブログでは日々の活動で見た生き物を中心に情報を発信しています。

植物

ニシキソウの仲間

先週、思い立って職場内の植物(雑草)を調べてみました。58種を確認し、そのうち28種が帰化植物で、帰化率は48.3%でした。

意外だったのがニシキソウの仲間が4種見つかったことでした。

まずはどこにでもあるコニシキソウ(Chamaesyce maculata

イメージ 1

茎にも果実の表面全体にも細かな白い毛が生えています。葉の中央に紫のしみがあるのも特徴。

これに良く似た在来種のニシキソウ(Chamaesyce pseudochamaesyce)はめっきり見られなくなっている種類ですが・・・

イメージ 2

隅っこの方でちゃんと生き残っていました。こちらは茎も果実の表面も無毛で、葉に紫のしみはありません。

もう一つ、最近よく見られるようになりつつある新しい帰化植物のアレチニシキソウ(Chamaesyce sp. aff. prostrata)も見つかりました。

イメージ 3

コニシキソウに比べて茎の毛は少なく、葉に紫のしみはありません。果実には稜の部分にのみ白くて直立した毛が生えています。学名は、まだ確定していないのでしょうか??

この3種を並べてみたのがこちら。

イメージ 6

よく似ていますが、並べると違いは明らかです。

まあ、これだけだろうと思っていたところ、南方系のシマニシキソウ(Chamaesyce pilulifera)もありました。

イメージ 4

温暖化の影響がこんなところにも (A^^;)  びっくりしました。

あとオオニシキソウ(Chamaesyce nutans)があればこの辺りで見られるものはほぼ全部になるのですが、さすがにそれは今回は見当たりませんでした。こんなのです。

イメージ 5

こちらも茎や果実はつるんとしていますが、大きくて茎全体が立ち上がることが全く違います。

残りの植物はまたのちほど^^

クモラン(Taeniophyllum aphyllum)

自宅から約30分くらいの山の中で、風の強い日にはカヤラン(Sarcochilus japonicus)の付いたスギ(Cryptomeria japonica)の小枝がたくさん落ちている場所があります。時々そこに行っては落ちてしまって枯れるばかりのカヤランを救出していますが、そこでは時々クモラン(Sarcochilus japonicus)も落ちているのを見つけることがあります。

イメージ 1

クモランはこの写真のように根っこだけしかないランで、スギなどの小枝に着生して根にある葉緑体で光合成をするという変わった植物です。といっても実は放射状に出している根っこの中心部に小さな茎を持っており、そこから根だけではなく、短くて細い花茎を出してミリ単位の花をつけ、思いのほか大き目の果実をつけます。この写真の下の方に淡褐色で枯れたようなものがくっついているのが、種を飛ばしたあとの果実です。

カヤランも夏の暑さと乾燥に弱くて、継続して育てるのはなかなか難しい植物ですが、クモランはさらに難しく、まずひと夏を越すことは不可能でした。これは生息地のような涼しくて空中湿度のある場所を提供することができないことがダメな原因だろうと、ほぼあきらめていたのですが、先日たくさんのクモランが落ちているのを見つけ、どうすればこれらのクモランを枯らすことなく育てることができるかを考えてみました。

空中湿度と適度な明るさや温度さえ維持できればもしかしたら継続して育て、開花させることもできるのではないかと考え、家にあった透明容器にミズクサを入れ、そこに入れて口を透明なラップで覆う、ということをやってみました。

イメージ 2

毎日霧吹きで水をかけ、室内の窓際においてみたところ、枯れることなく育ってくれることがわかりました。100均でちゃんと蓋のついた透明な容器を見つけたので、そちらにお引越しさせてみました。

イメージ 3

危険回避のために、二つに分けてお引越し^^ さてどうなりますやら、と毎日世話をしていたところ、

イメージ 4

新しい大きな根が伸びているのがわかるでしょうか? それだけでなく、細い花茎もそれぞれのクモランの中心部から伸びだしていました。とりあえずは成功のようです。

枝から落ちたときの衝撃のせいか、拾った段階で既に着生している枝からほとんど取れてしまっているものもありましたし、右から二つ目のクモランはスギの果実に着生しているような状態で、このまま何年も育てるのはちょっとたいへんそうです。とりあえずは夏をちゃんと越せるか、ですが、順調にいけば開花は十分期待できそうです。もしこの方法でうまく育ちそうでしたら、冬場の休眠期に慎重に枝からクモランを取り外したあと、もう少し幅の広い着生場所にお引越しさせることも可能ではないかと考えています。

うまく育ってくれることを祈ってます。

京大理学部付属植物園

5月初旬に京大理学部付属植物園に行ってきました。学生のころは時々お邪魔していたのですが、卒業してからはこれで2回目? 仕事で京都に来たときに時間があったのでのぞいてみました。

入り口のところでちょうどツクバネウツギ系のウツギが満開になっていました。見てみるとなんかちがう! 花茎に長くて白い毛が密生しています。こんなウツギ、見たことありません。

イメージ 1

名札が付いていなかったのでなになのか全くわからずに放置していたのですが、ググって見てやっと正体がわかりました。中国原産スイカズラ科の1属1種の木、ショウキウツギ(Kolkwitzia amabilis)でした。鍾馗さんのひげを想像して付けられたのでしょうが、ぴったりのネーミングです^^

この入り口にはバラ科のコゴメウツギ(Neillia incisa)と、もう1種別の近似種が植えられていて、カナウツギ(Neillia tanakae)かと思ったのですが、どうも違うようです。

中に入ったところでバンレイシ科のポポー(Asimina triloba)があったはずなのですが、見当たりませんでした。こっそり食べようと思ったこともあったのですが、さすがに学生の分際ではそこまでの勇気はありませんでした。モウセンゴケ科のムジナモ(Aldrovanda vesiculosa)がびっしり育つ容器とかも確かあったはずですが、こちらは既になくなっているようです。

うっそうと生い茂る樹木の中で、前回も見て気になっていたモクセイ科のコバタゴ(Fontanesia fortunei)がありました。残念ながら花は咲いていませんでしたが、このあと北部食堂でお昼を食べようと移動しているとき、そのすぐそばで開花しているのを見つけました。

イメージ 2

こんな花だったんだ^^ やっと見ることができました。

ぐるっと一回りして、池のところでカワセミ(Alcedo atthis)を見たり、エゴノキ科のハクウンボク(Styrax obassia)の花を楽しんだりしたとき、足元に見慣れない花が落ちているのに気付きました。

イメージ 3

近くにあった樹木の名札にはトウサイカチ(Gleditsia sinensis)の名札がありましたが、咲いているのはその隣の木。

イメージ 4

葉は確かにマメ科っぽい偶数羽状複葉だけど、花はどう見てもマメ科に見えないので、別物だと思っていたのですが、やはりこれがトウサイカチだったようです。

ちなみに、葉っぱはこんなです。これも花に混ざって落ちてました。

イメージ 5

変わった植物がいろいろ見れてよかったですが、あとで考えると中国産ばかりだったような (A^^;)

和歌山県立緑花センターのラン

昨日は久しぶりに昼から近くにある和歌山県立緑花センターに行ってきました。確か洋ラン展が催されている、と思って行ってみると、2月上旬の催しでした (A^^;)
それでもめげずに大温室に行ってみると、たくさんのランの花が出迎えてくれました。
 
カトレアやパフィオペディラムなどのきれいで大きな交配種がたくさん咲いていたのに、そういうのには目もくれず、野生ランばかり撮影していました。ちょうどAngraecum sesquipedale が満開で、花をじっくり見ることができました。
 
イメージ 1
 
この花はダーウィンがマダガスカル島で発見し、その距の長さに見合う長い口を持ったガの存在を予言し、後に予言どおりの口を持つキサントパンスズメガ(Xanthopan morganii praedictaが発見されたことで有名なランです。残念なことに花の位置が変! どうもこの種は花茎を下垂させる種のようで、(おそらく)花が見やすいように花茎を斜上する状態で支えをしてあったため、下垂するはずの距が上向きに突き上げるようになっていました。せっかくなら自然な状態で見たかったなあ (A^^;)
 
A. sesquipedale にしては距がやけに短く、まさか別種か交配種ってことはないでしょうか??
 
奥の方には、Rhyncholaelia glauca がたくさん並べられていました。
 
イメージ 2
 
クリーム色の美しいランです。この仲間はもともと Brasavola 属でしたが、DNA解析により、この glaucadigbyana などは Rhyncholaelia 属に分離されました。ここのラベルはまだ Brasavola のままになっていました。
 
白くて細い花弁の花をたくさんつけているランが満開になっていました。
 
イメージ 3
 
オーストラリア東部のラン、Dendrobium speciosum です。清楚できれいなランです。
 
ボクの好きな Cirrhopetarum 属のランも2種類咲いていました。
 
イメージ 4
 
Bulbophyllum 属に含める考え方もありますが、細長い花を放射状につけるものを Cirrhopetarum 属に分離することもあり、ボクはそちら派です^^ 残念ながらラベルがなく、しかもこの仲間はよく似た種が多いため、種名は不明です。もう一つ、小さくて赤い花を放射状につけたものもありましたが、残念ながらうまく撮影できていませんでした (A^^;)
 
そのお隣には、こちらは正真正銘のBulbophyllum 属が不思議な花をつけていました。
 
イメージ 5
 
フィリピン原産の Bulbophyllum saurocephalum です。太くて肉質の花茎を下垂させて、そこに埋もれるような感じで開花しています。アップで見てみると、
 
イメージ 6
 
唇弁が肉質の花茎と合体しているように見えます。なんて不思議なラン!
 
そろそろ温室から出ようとしたとき、もう一つ小さなランが咲いているのに気付きました。
 
イメージ 7
 
これまた残念なことにラベルがなく、いったいどの属に属しているのかもわかりませんでした。もしかしたら Bulbophyllum 属ではと思って検索したところ、中国南部から東南アジア原産の Bulbophyllum ambrosia であることを確認。
 
イメージ 8
 
地味な Bulbophyllum 属にしてはなかなかキュートなランですが、そっけなくぶら下げられているだけなので、この花に気付いた人がいったい何人いるのか (A^^;)
 
そういえば、これらのランの名前を調べているとき、去年の頂き物のランの名前が間違っていたことに気付きました。
 
イメージ 9
 
年末ごろに満開で、今は1輪だけ花が残っています。Coelogyne uniflora だと言われていただいたのですが、ググってみるとその名前のランに2種類あることがわかり、さらに調べるとこのランを Coelogyne uniflora としているのはほぼ日本のサイトに限られていることに気付きました。これはどうも怪しいと思ってよくよく調べてみて、やっと正体を突き止めました。これは中国南部から東南アジアに分布する Coelogyne fimbriata でした。外国のランに関しては情報が少なく、よくよく調べないと分類の変更などがあっても知らないことが多いので要注意です。でも、このランに関しては、いったいどこで誰が間違ったのか、それがこんなに国内に間違いと気付かれずに広がってるとは、びっくりしました。

7月末の稲村ヶ岳3(訂正あり)

さて、植物編もこれが最後です。
 
山頂展望台からは、最初雲がいっぱいで遠くの景色が見えませんでしたが、徐々に雲も晴れて大台山系や大峰山系が見えてきました。すぐ近くの空をタテハチョウ科のアサギマダラ(Parantica sita)がゆっくりと通過していきました。
 
ニシキギ科のクロヅル(Tripterygium regelii)ももうすぐ花が終わりです。
 
イメージ 1
 
白い花序に赤くてぺらっとしたものがくっついているように見えますが、この赤いのが果実です。
 
ツツジ科のサラサドウダン(Enkianthus campanulatus)は全て実になっていました。
 
イメージ 2
 
花の時期には、それは見事だっただろうなと想像できます。
 
午後から雨の予報が出ていますので、予定を少し早めて下山。途中、アジサイ科のノリウツギ(Hydrangea paniculata)がきれいでした。
 
イメージ 3
 
周辺の大きいのは装飾花。その内側の丸く小さいのが雄しべ雌しべを備えた、つまり結実する花です。開花はこれからのようです。
 
キレットまで戻り、天気もまだもちそうなので、ここから大日山に登ることにしました。鎖場の多い急勾配の登山道なので、全員が事故なく登ることを第1に考えながら、ゆっくりと慎重に山頂を目指しました。途中、シュロソウ科のツクバネソウ(Paris tetraphyll)が咲いていました。
 
イメージ 4
 
不思議なつくりの花。以前はユリ科に分類されていましたが、今はなじみの薄いシュロソウ科です (A^^;)
 
レンプクソウ科のヤマシグレ(Viburnum urceolatum)も咲いているのかいないのかわからない花をつけていました。
 
イメージ 5
 
ヤマシグレの花はこんなふうに蕾のような状態で平開しない花をつけ、先端から雄しべの白い葯が見えていることで開花しているのがわかる程度です。レンプクソウ科はレンプクソウしか入っていないマイナーな科だったのですが、スイカズラ科からどさっとお引越しされて、にぎやかな科になりました。
 
鎖場の連続の途中で咲いていたこの二つの花は、地味系だということもあってあまり興味を示してくれず、参加者の大部分はひたすら鎖やはしごと格闘していました (A^^;)
 
そんな中でこのオミナエシ科のキンレイカ(Patrinia triloba var. palmata)だけは、きれいなのでしっかりと見てくれました^^
 
イメージ 6
 
葉と花のバランスも取れていて、ボクのお気に入りの花の一つです。
 
全員無事山頂まで到着。山頂の見晴らしがないと文句を言われましたが、こちらの方が登りきったという実感があったのではと思いました。
 
下りはさらに慎重に! 元の分岐点まで戻り、あとは快適に稲村ヶ岳山荘まで戻りました。ここで早い昼食を取りました。思いがけなく用意してくれていたお味噌汁の美味しかったこと^^ 全員で完食です (^^)v
 
食事後、雨にあわないように急いで下山。途中でテングタケ科のタマゴタケ(Amanita hemibapha)が数本出ていました。
 
イメージ 7
 
雷の音も遠くで聞こえており、空模様も気になったのですが、せっかくの教材^^ 急斜面をゆっくりと下りて1本持ってきて、白い壷の存在、茎のだんだら模様、傘の上面の縁沿いにある放射状の筋などの特徴を説明。とても美味しい食用キノコだと言ったのですが、みんな警戒して持って帰りたいという人は皆無 (A^^;)  美味しいのになあ (A^^;)
 
雨にもほとんどあうこともなく下山。さすが普段の行い (^^)v  帰りは母公堂の方に降り、そこから舗装道路を歩きました。途中、ごろごろ水付近でやっとツリフネソウ科のハガクレツリフネ(Impatiens hypophylla)を見つけました。
 
イメージ 8
 
無印ツリフネソウ(Impatiens textorii)より淡いピンク色で少しふっくらとした花を葉に隠れるようにつけるのが特徴です。こちらではけっこう見られるはずなのに、タイミングが悪かったのか、ここでしか見られませんでした。園芸種のホウセンカ(Impatiens balsamina)やアフリカホウセンカ(Impatiens walleriana)、いわゆるインパチエンスとは同属。同属とは思えない不思議な花の形状ですが、果実に触れるとはじけて種を飛ばすところは同じです。さすがimpatience(短期、せっかち、我慢できない)の名のとおりです^^
 
やっともとの登山口に到着。登山道入り口付近に、登りの際には全く気付かなかったサルトリイバラ科のシオデ(Smilax ripariaがちょうど満開になっていました。
 
イメージ 9
 
まるで線香花火のように雄しべが四方にはじけたように広がっています。その付け根が丸く膨らんだように見えますが、これは花弁が丸く後ろに反転しているため。近縁種のタチシオデ(Smilax nipponicaは反転せずに平開します。この株は雄花をつけているので雄株です。
 
と、識別点まで書いておいて、種名を逆に書いていました。ほんとに凡ミス (A^^;)  大変失礼いたしました (A^^;)  ご指摘いただいたedelweiceさん、ありがとうございます。ちなみに、タチシオデの開花期は5~6月、シオデの開花期は7~8月と、開花の時期も異なっています。
 
さて、次は昆虫編です^^
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: