続きです。
山小屋も近くなり、前回ツツジ科のベニドウダン(Enkianthus cernuus f. rubens)を見つけたところの足元に、同じくツツジ科のアクシバ(Vaccinium japonicum)が咲いているのを見つけました。
花弁の裂片がクルリと巻いているのがチャーミング! これで目の高さで咲いてくれればきっと誰もが気付くのに、背の低い草のような木本なので、なかなか気づいてもらえません (A^^;)
やっと山小屋に到着し、部屋の確認と荷物の整理をした後、付近の散策を行いました。見たかった花もなんとかまだ咲いていてくれてホッとしました(^^)v その近くには今年もシソ科のヤマトウバナ(Clinopodium multicaule)が咲いていました。
ここのヤマトウバナはいつ見てもほんとに背が小さく、花のサイズは同じなのですが花序もこんなふうに小さくて花を少ししか付けません。屋久島と奈良県に隔離分布するヤマトウバナの変種、コケトウバナ(YListではヤクシマトウバナ)(Clinopodium multicaule var. yakusimense)ってのがあり、初めて見たときはこれに違いないと思ったのですが、ボクの和歌山の植物のお師匠さんに否定されてしまいました (A^^;) 奈良で記録されたものって、ほんとに屋久島で記録されたものと同じ変種なのか、実はかなり疑問に思っています (A^^;)
このすぐそばにはアカネ科のオオバノヨツバムグラ(Galium kamtschaticum var. acutifolium)も咲いていました。
これもさっきのヤマトウバナと同じく小さい! でも、白い星形の花と長い毛で覆われた子房、4輪生する3本の脈が明瞭な丸い葉から、この種だとわかります。多雪地帯なのでこんなに小さいのかなあ??
夕飯に稲村ヶ岳山荘ご自慢の鍋をいただいたあと、夜はブラックライトに集まる虫の観察。残念ながら天気が下り坂で風が強く、小さな虫が少し集まった程度でした。昆虫編は植物編が終わってからのお楽しみにしてください^^
翌日は早朝から稲村ヶ岳山頂を目指しました。山小屋のそばにはオトギリソウ科のサワオトギリ(Hypericum pseudopetiolatum)が咲いていました。
大峰山系ではごく普通に見られます。花が小さめで雄蕊の数が少なく、葉が楕円形で茎を抱かない、などが特徴です。
山頂までの途中、”無印”オトギリソウ(Hypericum erectum var. erectum f. erectum)も咲いていました。
こちらは花がサワオトギリより少し大きめで、雄蕊も多く、葉の基部側が最大幅となり、葉が茎を抱くのが特徴です。オトギリソウの仲間はけっこう同定がやっかいで、葉や萼片、花などにある黒線や黒点、明点などの有無や分布をしっかり見る必要があります。
キレットを超え、垂直の崖のところでは、バラ科のヤマブキショウマ(Aruncus dioicus)が満開でした。
きれいだけど、よく似たのがユキノシタ科とかにもあって、いつも迷います (A^^;)
同じ場所には同じくバラ科のピンクの花、シモツケソウ(Filipendula multijuga)も咲いていました(入れたつもりなのにソウが抜けていました (A^^;) 指摘ありがとうございました)。
泡立つように咲くピンクの花はとてもきれいです。これと名前がよく似たやはりバラ科のシモツケ(Spiraea japonica)もここにあり、少し離れたところで名残の花が見られました。
こちらは木本。花の色は似ていますが、雰囲気はかなり違います。
キレットあたりから普段でしたらムシクイ科のメボソムシクイ(Phylloscopus xanthodryas)の囀りが聞けるのですが、今年はなぜか全く囀っていない! もともと小さな個体群なので、ちょっと心配です。そのかわり今年はヒタキ科のコマドリ(Luscinia akahige)の囀りが何ヶ所かで聞くことができました。奈良県では近年個体数が激減している鳥。もっと復活してくれればいいのですが。
さて、やっと山頂です。続く^^