Nawshicaの自然とともに

2019年4月にフリーとなり、現在は Nature Guide & Research として鳥や植物、昆虫の調査や観察会講師、ガイドなどをしています。このブログは​ 20​10​/04​/2​9 に yahooブログで開設し、2019/09/09 にこちらに移行し、日々の活動で見た生き物を中心に情報を発信しています。なお、元高校数学の教師でしたので、家庭教師の依頼も受けております。

植物

新穂高岳2

一昨日まで日本鳥学会2013年大会での発表の準備で大忙しで、なかなか写真の整理とかもできなかったのですが、昨日、日帰りで名古屋の名城大学での大会に行ってきて、疲れたけどやっと一息つけました^^
 
久しぶりのゆっくりとした休日で、写真の整理ができました。
 
では続きです。
 
スゲの写真を這いつくばるようにして撮っているのを変な目で見られながらも、めげずに次の被写体に^^
 
登山道横にキキョウ科のチシマギキョウ(Campanula chamissonis)が咲いていました。
 
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ロゼット状に広がる葉に細くて長い葉柄があるのがちょっとノーマルタイプのチシマギキョウとはちがう変な感じを受けましたが、萼片が全縁で、花の裂片に白くて長い毛が多いことは特徴と一致します。登山道沿いのその一角にだけ群生するようにありましたので、もしかしたら植えられたものかもしれません。
 
その先にはギンリョウソウ(Monotropastrum humile)が咲いていました。
 
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本当に蝋細工のような花です。ちょうどハチが来ていました。花の奥まで顔を突っ込むかと思っていたら、こんな感じでずっと何かをしていました。ギンリョウソウの花の入り口は、ほぼ同じくらいの丸い柱頭でふさがれていますので、柱頭のねばねばした部分をなめていたのかもしれません。ハチは守備範囲外ですので、なんという名前かはわかりませんが、ギンリョウソウの報花昆虫は初めて見ました。
 
ギンリョウソウはイチヤクソウ科からツツジ科に移されてしまいました。こういう葉緑体を持たない植物の場合は、どの部位のDNAを解析したのでしょうか?
 
こんな目立たない植物も群生していました。アカネ科のオオバノヨツバムグラ(Galium kamtschaticum var. acutifolium)です。
 
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葉は大きめで丸く、先がやや尖り、3脈が目立ちます。また、花は図鑑では淡緑色となっていますが、これはもっと白っぽく、花冠が5裂するものもありました。子房にたくさんの長くて先の曲がった毛が生えているのは特徴的です。
 
その先に咲いていたのがこれ (^^)v
 
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やっと見つけました。コイチヨウラン(Ephippianthus schmidtii)です。大峰山系では残念ながら花に振られてしまいましたが、ここでやっと花を見ることができました。
 
この近くではコバノイチヤクソウ(Pyrola alpina)も咲いていました。
 
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葉に特徴があり、他種と見分けられます。ギンリョウソウと同じく、これもツツジ科に移動されています。ツツジ科とはにわかに信じられない!
 
残念ながら、「もう帰ろう」の天の声 (T_T)  もっと歩けばまだまだいろんな花が見られるのにほんとに残念です。
 
ロープウェイの近くまで戻ると、オトギリソウ科のシナノオトギリ(Hypericum senanense subsp. senanense)が咲いていました。
 
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葉の一番幅の広い部分が茎に近いところにあり、葉は軽く茎を抱いています。葉には黒点はなく、縁にのみ黒点があります。花弁にも黒点があるように見え、同定に悩みましたが、おそらく花が少し痛んでいるせいではないかと思います。3本の花柱が子房より長いことも特徴です。
 
残念ながら、これでおしまい。ロープウェイに乗って西穂高口駅に戻りました。あまりに残念なので、駐車場まで戻るのを少し回り道。すると、やっとヒヨドリバナ(Eupatorium makinoi)にセセリチョウがいるのを発見^^
 
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コキマダラセセリ(Ochlodes venatus)です。やっと信州らしいチョウを見ることができました。たぶん午前中にここに来ていれば、もっとたくさんのチョウを見ることができたのに、ほんとに残念!
 
車に戻り、新穂高岳をあとにしました。動き出してすぐにキンポウゲ科のヤマオダマキ(Aquilegia buergeriana var. buergeriana)が咲いているのを見つけ、車を止めてパチリ。
 
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とてもきれい! 園芸種に見まちがうほどです。距が曲がらずまっすぐに伸びているのが特徴です。
 
また今度はゆっくりと時間をかけてリベンジしたいものです。まあでもたったこれだけの時間でこれだけ見られただけでも満足しなくっちゃ^^

新穂高岳

白川郷から白山スーパー林道に行き、その夜は高山で宿泊。翌日早朝の朝市から始まり、高山市内の観光をしたあと、上高地に行くか新穂高岳に行くか迷った末に、新穂高岳に向うことになりました。
 
ロープウェイ乗り場のあるしらかば平駅に着いたときには既に昼。せっかくなら午前中に行きたかったのに、しかたありません (A^^;)  本当にもったいないことです (A^^;)
 
とりあえずロープウェイで西穂高口駅に行くことにしました。
 
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まだこの時点では焼岳がよく見えていましたが、山頂に着いたころからそろそろガスが出てきました。
 
山頂で遅い昼食をとった後、やっと散策開始^^
 
歩き出してすぐ、クルマユリ(Lilium medeoloides)が咲いていました。
 
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花だけを見るとコオニユリ(Lilium leichtlinii f. pseudotigrinum)に似ていますが、葉の幅が広くて、茎の下部の葉は名前の由来になっているように輪生しています。普通は花に濃紅色の斑点があるのですが、この花には全くありませんでした。
 
その先にはキヌガサソウ(Kinugasa japonica)が咲いていました。
 
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日本特産の植物です。咲いているのは初めて見ましたが、予想外に大きくびっくりしました。以前はユリ科に分類されていましたが、APGⅢではシュロソウ科になっています。
 
さらにその先にはヤグルマソウ(Rodgersia podophylla)が咲いていました。
 
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葉はよく見るのですが、なかなか花を見る機会がなく、やっと撮影できました。これは以前の分類から変わらずユキノシタ科です。
 
林床にはゴゼンタチバナ(Cornus canadensis)が咲いていました。
 
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ゴゼンタチバナの開花株はこのように6枚の葉が付きますが、葉が4枚のうちは花を付けません。ミズキ科には珍しく草本です。
 
さらに進むとナデシコ科のセンジュガンピ(Silene gracillima)が咲いていました。
 
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花弁の縁の細かい切れ込みを千手観音の腕に見立てたそうな。そういう発想はどこから出てきたのか不思議です。
 
同じ場所にゼンテイカ(ニッコウキスゲ)(Hemerocallis dumortieri var. esculenta)が咲いていました。
 
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ゼンテイカは草原に群生しているイメージがあったので、こんなくらい茂みでぽつんと咲いていると、なんだか別の種類のように思ってしまいました (A^^;)  ゼンテイカを含むヘメロカリス属はユリ科からゼンテイカ科に分離されています。
 
さらに歩いて行くと、スゲがありました。スゲは勉強中なので、とりあえずいくつか撮影して、帰ってからスゲ図鑑で検索 (A^^;)
 
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頂小穂が雄性で、側小穂が雌性であること、無鞘の長い苞があり、下部の雌小穂が少し離れて付くこと、雄鱗片が淡褐色で軸が緑色であること、雌果苞の嘴が長く外側に開出していて、鱗片はそれより短く緑色であることから、ヒカゲシラスゲ(Carex planiculmis)でした。
 
続く^^

白山スーパー林道2

スーパー林道途中にはところどころに駐車場があり、美しい景色をゆっくりと満喫することができます。その一つに車を止めて辺りを見回すと、岩場に白い花が咲いていました。
 
イメージ 1
 
撮影した段階ではコメツツジ(Rhododendron tschonoskii)だと思っていたのですが、花弁が4裂していること、葉に3本の葉脈がはっきりと見えることなどから、オオコメツツジ(Rhododendron tschonoskii subsp. trinerve)だとわかりました。
 
オオコメツツジはYListではコメツツジの亜種扱いですが、山渓図鑑では別種扱いになっています。
 
この近くでは、キリンソウ(Phedimus aizoon var. floribundus)も咲いていました。
 
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ベンケイソウ科の植物。なかなかきれいです。
 
スーパー林道沿いにはたくさんの滝が見られます。そのうち最も迫力のある滝は「ふくべ大滝」です。
 
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ここにも駐車場と展望台があります。
 
展望台のところにマツムシソウ(Scabiosa japonica)が咲いていました。
 
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まだこの時期では咲き始め。花はここでしか見ることはできませんでした。キク科のように見えますが、周辺の花は舌状花ではなく、個々の花の形状もキク科とは異なっています。これはマツムシソウ科の植物です。
 
展望台から崖の下の方を覗いてみると、見慣れない赤い実をつけた低木がありました。ドクウツギ(Coriaria japonica)です。
 
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とても有名な毒草ですが、大阪や和歌山では見ることができません。
 
それにしても、垂直の崖の怖いこと (A^^;)  と言いながらも、さらにのぞいていると、美しいナデシコの仲間が咲いています。望遠で撮影しましたが、思うような写真は撮れませんでした。幸いスーパー林道終点で折り返して戻る途中、道沿いにも咲いているのを見つけ、パチリ^^
 
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シナノナデシコ(Dianthus shinanensis)でした。園芸種と見間違うくらいのきれいさです。
 
ここにはカライトソウ(Sanguisorba hakusanensis)も咲いていました。
 
もっと早い時間帯でしたら、これらの花にたくさんのチョウがやってくるのですが、16時からではさすがに遅すぎます (A^^; )  見られたのはわずかにこれ。
 
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クジャクチョウ(Inachis io geisha)です。コンクリートの斜面に止まっていました。とても美しいチョウですが、ちょっと擦れていました。
 
白山スーパー林道は入場できる時間帯が限れています。おもしろそうなところで止まりながらゆっくりと見ていたおかげで、閉鎖される直前までこの中でいることになり、職員の方に途中で声をかけられたりしました。
 
翌日は新穂高岳に少しだけ寄ることになり、こちらも楽しみです。

白山スーパー林道

初夏から夏にかけていろんなところに出かけ、たくさんの出会いがありましたが、全て宿題になってしまいました (A^^;)  少しずつそれらをアップしたいと思います。
 
8月7日朝、突然白川郷に連れて行けと言われました (A^^;)  ボクは人口建造物にはあまり興味がないのですが、すぐそばに白山スーパー林道があり、そこに寄ることを条件に一路白川郷に。ボクとしては日の高いうちに行きたかったのですが、結局スーパー林道に行けたのは16時ごろ (A^^;)  困ったものです (A^^;)
 
スーパー林道に入って少し走ったところに、小さな滝があってたくさんの花が咲いてる場所を発見。すぐに車を止めて撮影開始です。
 
まずはクロバナヒキオコシ(Isodon trichocarpus
 
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この花は濃い紫色なので、とっても撮影しにくい植物です。何度撮ってもじょうずに撮れないのが情けない (A^^;)  アップの写真で満足のいくものはありませんでした。
 
見上げた崖の上の方には、コオニユリ(Lilium leichtlinii f. pseudotigrinum)が咲いていました。
 
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オニユリそっくりの花ですが、葉の基部にはむかごができません。
 
その近くには、カライトソウ(Sanguisorba hakusanensis)が咲いていました。
 
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ワレモコウ(Sanguisorba officinalis var. carnea)と同じく、バラ科の植物です。
 
滝や流れの近くでは、黄色の花が群落を作っていました。キンコウカ(Narthecium asiaticum)です。
 
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かつてはユリ科に分類されていましたが、今はキンコウカ科に分離されています。
 
クガイソウ(Veronicastrum japonicum var. japonicum)も満開でした。
 
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こちらはゴマノハグサ科に分類されていたのが、なんと今はオオバコ科です。なじめないなあ (A^^;)
 
モミジカラマツ(Trautvetteria caroliniensis var. japonica)も咲いていました。
 
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これはキンポウゲ科の植物。変更がないとほっとします^^
 
車でさらに進んだところに、キク科のヤマハハコ(Anaphalis margaritacea subsp. margaritacea)が咲いていました。
 
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さらに進んだところではトリカブトの花が咲いていました。
 
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トリカブト類は分類がとても厄介です。でも、白山で見られ、花序が無毛であること、兜の先の尖ったところが水平に延びていないことなどから、これはリョウハクトリカブト(Aconitum zigzag subsp. ryohakuense)のようです。キンポウゲ科の有名な毒草ですが、とても魅力的な植物です。
 
シモツケソウ(Filipendula multijuga)もあちこちで見られました。
 
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これは見るからにバラ科の植物。開花するとぽわぽわっとした感じになります。
 
続く^^

弥山(奈良県)の植物2

弥山山頂で、クロジ(Emberiza variabilis)の囀りが八経ヶ岳側から聞こえてきました。期待しながら13時15分頃に八経ヶ岳に向いました。
 
まずは下り (A^^;)  そのまま登らせてくれたらいいのにっていつも思います。左手にはシカ除けフェンスがあり、その中は植物がいっぱい。でもフェンスの外側には貧弱な植生が広がるだけです。フェンスの範囲をどんどん広げれば、まだ植生の回復が望めるという証拠かもしれません。
 
いよいよシカ除けフェンスの中に。このあたりからもクロジの囀りがよく聞こえました。大普賢ではたった1個体しか聞けなかった囀りが、ここでは普通に聞こえてきます。紀伊半島ではこの大峰山系にごくわずかに繁殖するクロジ。今回は何個体もの囀りをしっかり録音することができました。
 
フェンス内に入ってすぐに、ハスノハイチゴ(Rubus peltatus)が実をつけているのを発見。
 
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名前のようにハス(Nelumbo nucifera)の葉と同じく葉柄が葉の中ほどについています。果実もなんか変 (A^^;)  まだ未熟ですが、熟せば美味しいのかなあ?
 
果実は下垂しますが、花も下向きで撮影がたいへんです。
 
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これは2008年6月中旬に稲村ヶ岳での撮影。花の中を見上げながら撮った写真は
 
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こんな感じの大きな花でした。
 
同じくバラ科でこちらも絶滅危惧種のミヤマモミジイチゴ(Rubus pseudoacer)はちょうど花の時期でした。
 
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この花もうつむきかげんに咲くために、花のアップが撮りにくいこと (A^^;)  でもがんばって撮ってみました。
 
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ハスノハイチゴに比べるとおとなしい花です。いっぱい咲いていましたが、なかなかきれいな花は見つかりませんでした。
 
その先には、オオヤマレンゲ(Magnolia sieboldii subsp. japonica)の群落がありました。
 
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こちらもなかなかきれいに咲いている花が見つかりませんでしたが、たくさんある花の中にこんなにきれいに咲いているものが見つかりました。やっぱりこれを見なくっちゃ^^
 
他にも、ハリギリ(Kalopanax septemlobus)やサンカヨウ(Diphylleia grayi)など、柵の外じゃ見られないような植物をいっぱい見ることができました。シカがここまで増えなければ、きっと他でも見られたはずなのですが (A^^;)
 
柵を出て八経ヶ岳の山頂に立ったあと、再び柵を越えて弥山に戻り、尾根筋の道を戻り登山口まで戻りました。登山口に着く直前に、マタタビ(Actinidia polygama)が咲いているのに気付きました。
 
イメージ 1
 
花の時期にはところどころの葉が半分白いペンキを塗ったように白くなります。ネコを飼ってたら少し葉をもらって帰るのですが (A^^;)
 
ヤマアジサイ(Hydrangea serrata var. serrata)もまだ咲いていました。
 
イメージ 2
 
色が濃くてすごくきれいでした。
 
14時20分くらいに弥山小屋を出て、着いたのが16時50分頃。ちょうどいい時間帯でした^^
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